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映画「インサイド・マン」を見た

銀行強盗の映画が無性に見たくなったので、検索して出てきたこれを見た。
2006年公開のアメリカ映画。「インサイド・マン」(原題: Inside Man)
この映画はどちらかと言えば刑事視点で描かれていく。
※ネタバレを含みます

感想

強盗犯も警察側も常に冷静で、全てが落ち着いて進行していく。
欧米人が絶対必要とする銃撃シーンや派手なアクションは、「もし突入したら」のIF映像だけの潔さ。

「みんな頭良いー」って感じでストレス無く最後まで見れました。
巻き込まれた人質たちや、刑事の日常にユーモアを織り交ぜていくのが邪魔にならない程度で良い。

最終的に明らかになる犯人グループの顔と、彼ら一人ひとりがどういった理由で組んだのか、
事件前、事件中、事件後などそれぞれどういう役割だったのかとか、色々知りたくなる。けどそういう部分は一切描かないのもこの映画の潔さなんでしょう。
戦争犯罪で稼いだ云々の部分は、ちょっと私にはついていけなかったかな。
最終的に事件は解決したわけじゃないのもモヤッと。
刑事は結局出世したっぽいし、誰がどうなって行ったのかあんまり判然としない。
これらは私の理解力不足も大いに影響しているが、そもそもそこが重要な映画では無いので気にしすぎてもどうしようもない。

インサイド・マン」というタイトル

それは銀行強盗を成功させるための要となる手口であり、"HOW?" の部分だ。
主犯の彼は備品部屋の一番奥にスペースを作り、そこに隠れた。
合間合間に挟まれた「床を掘ってるシーン」は、冗談めかしていたが本当に「トイレ」だった。
棚は全体的に手前にずらしたから、備品の処分は必要ない。
(床を掘った描写はあるが壁を掘った描写は無いし、彼が寝泊まりしてた部分の壁紙は備品室の壁紙であり、つまり部屋を拡張したわけではない)

なるほどなあというアイディアだ。

実現可能性

ただ私には疑問が残った。
一番の疑問は、「犯人が潜んでいた側にも棚がある」こと。
備品部屋側の棚の数は増えていないし、ダンボールなどの備品もズレることなくピッタリ収まっている。(序盤と終わりに同じアングルの映像が映る。ただしこれは全く同じ状態で撮影してるのでズレるわけがない。備品すべての並び方、その傾きや積み重なり方が完全に一緒)
つまりは棚の総数が増えてる。
確かに銀行突入時に大掛かりな荷物は運び入れているのだが……。組み立て式だとして、あの巨大な棚を一列分……ちょっと厳しいかなあ。
すでに存在した棚を減らしていないということは、すべての棚を手前に動かしたわけで。棚一列分と、マットレスが入るスペース分。

だけど最初備品室を発見したシーンと、最後出ていくシーンで「入り口側」のスペース"も"全く変わってないんですよね。
撮影上の手間短縮なのは間違いないですが、そこを完璧にやらないってことは実現可能性で言っても無理があるのでしょう。

映画として、エンターテインメントとしては素晴らしいアイディアだと思います。
そしてアイディアに振り切ったから、あとはどうせ一瞬しか映らないから映像の嘘で誤魔化そうってやり口なのは、映画としては当然なんだろうけどなんか釈然としない。
そこに「本当にやったのかも」と思わせるリアリティを求めてしまうのは、きっと私が幼いからなのでしょう。

総評

最初から最後まで、「犯人は何をやろうとしているんだろう」「どうなって行くんだろう」と惹きつけられっぱなしでした。
少しずつ情報が明かされていくけど、確信には全然たどり着かない。むしろ煙に巻かれていってる感じ。
そしてその間が全然持つ。ずっと見ていられる、緊張と緩和が程よく持続していた。
アルメニア人の元奥さんとかストーリーには全然必要ないんだけど(笑)、ああいうのがいい味出してる。

ネタバラシがタイトルに繋がる感じもとても気持ちが良い。
軽い気持ちで2時間見るのにはすごくちょうどよかったです。