人様のコンテンツの話

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最近の若手プロ野球選手あるある

プロスピAの対決動画に出てくる選手、だいたいプロスピやってないよね~。
これじゃ「あるある」じゃなくて、「ないない」か。
「チームメイトはやってますか?」と聞かれると、「やってますね」とか、「誰々はやってますね」とか。
そして各チームのスター選手、試合で活躍してる選手ほどやってないので、私は「やってる」と答える選手は大成しないと思って見てます。やってない選手に好印象を持つ。
選手として大成功を収めたあとにやってる選手は問題ないかなと。

さて本題。

今の選手に起きていることを、複数チームの監督・コーチがそれぞれの視点から、しかし似たようなことを話していると私は感じたので、それを紹介します。

※以下書き起こしは敬称略で失礼致します。
※書き起こしは一部不正確な場合があるかもしれません。
本人の正確な発言が知りたい方は、各動画を御覧ください。
井口監督出演のラジオは、時間が経てばおそらく消えてしまうのでなるべく発言ママです。

CASE 1 立浪臨時コーチ(当時)から見た根尾・京田選手

―臨時コーチ直後、2021年3月6日に公開された動画にて
www.youtube.com
―根尾選手について
立浪「自分から見たら、まずやっぱり正直、『形』。守備もそうですけども、打つ方もちょっと『ここだけは直さないと』というところがあるんですよね」
立浪「だからそこをとにかく(直すべき)。今年はもちろん試合出たいと思うんですけど、(その前に)『今年1年で本当にしっかりとした自分の形を作ってしまえば』(自ずと試合に出られるようになる)。出れば体力もありますしね。(結果が出るのも)早いと思うんですけども。ちょっと焦ってるのかなっていうのを感じますね」

―根尾は頑固なところがある。和田一浩さんも頑固な一面があるという流れから

立浪「でもそういう部分が無いとあかんよね」

和田「ああ、(そう)かなと思います」

立浪「そういう部分と、素直に聞き入れる部分が兼ね備えないといけないのかなというね」

和田「いいバランスですね」

中根「そこはいいバランス持ってないとダメだよね」

立浪「そう思います」

―続いて、8月12日に公開された動画にて
www.youtube.com
立浪「今回の(臨時コーチとしての)目的は「根尾であったり京田であったり、そういった若いこれからの選手を見てくれ」と」
立浪「結局自分はその(キャンプの)20日間の間に、根気よく同じことをずーーっと言ってただけなんですよね。で、どうしてもなかなか簡単には出来ないですよね。やっぱりバッティングって難しいので」

立浪「どうやったら出来るようになるかなと思いながら。色んなことを考えながら指導はしたんですけども。でもやっぱり結果が出ないと、こうやってシーズン入って『違うことやってしまう』よね。見てると」

片岡「今の選手っていうのは、二人に限らず「ちょっと打てへんかったら、ちょっと変えてみよう」っていう風な(ところがある)。なかなか続けてやる『根気』っていうのがちょっと足らんかもわからんね」

立浪「そう。それもね、(臨時コーチの)最後、「とにかくこれが出来るように、毎日根気よくやれ、根気よくやれ」っていうことは伝えたんですけども。なかなかね、簡単にはいかないですよね」

CASE 2 井口監督から見た安田尚憲選手

―2021年12月19日放送の【石橋貴明GATE7】より
www.tbsradio.jp
―荻野選手が試合前に自らフォームチェックをする話から、

石橋「自分(一人)でやるんですね」

井口「自分でみんなやりますね。パって。気づいたときに。今、YouTubeでも色んなバッティング理論とか出てるんで、みんなそれ試したりするんですけど。逆にね、崩れていく人もいるんですけどね(苦笑)」

石橋「あ、そうですか!」

井口「あの、うちの5番は特にそういうタイプで(笑)」

石橋「あ、そうなんですか!」

井口「だから気づくとバッティングフォーム変わって、「あれっ?」っていう(笑)」

CASE 3 片岡2軍監督、石井琢朗コーチから見た若手

―2022年1月4日公開の動画より
www.youtube.com
石井「情報が色んな所から入ってくるので、説明しやすい部分もあるけれども、説明しづらい部分も(ある)。YouTubeとか、いらん情報ばっかり入ってるんですよ。色んな選手のプレーだ、バッティングだとかバッティング理論だとか。(選手が自由に)色んなものを見て、それを見過ぎてるところもあるので、こっちから言ってることに対して素直に入らなかったりだとか。っていうのはすごくあるなと思います」

――

片岡「昔ってここまで情報が無いから、『これやれ!』って(監督・コーチに)言われたら、『これ』ばっかりやってたと思うんやけど。今情報が多いからなかなかその『続ける』という風なことがちょっと、今の選手は昔に比べれば少し無いような気がするんやけど、これはどうかな?」

石井「続けることの大切さっていうところで。『何を意識して続けるか』っていうところなんですよね。『継続は力なり』って言うんですけれども、継続って僕おそらく誰でも出来ると思うんですよ。ただその継続の中にプラスアルファ、」

片岡「石井コーチちょっといいですか」

石井「はい」

片岡「継続誰でも出来ますか?」

石井「まあ、やろうと思えば(笑)」

片岡「石井コーチの基本的なところには『練習なんて好きだから努力じゃないんだよ』っていうのがすごくあるやん」

石井「(笑)」

片岡「それはもっと上のレベルの話であってね。その継続する力が一番大事だと思うんですよ、プロ野球で。それは3日なのか(略)、1年なのかはわかりませんよ。継続(の長さ)っていうのは」
片岡「みんな今情報が多いからね、『結果が出ないとすぐ違うことをしたがる』っていうようなことを感じない?」

石井「それはあります。でも『そういう選手は伸びないです』」

片岡「やっぱりそう?」

石井「『伸びないです』って決めつけてしまうのはいけないですけれども、『同じサークルをぐるぐるぐるぐる回ってる選手』っていうのはやっぱりいます。『根気よく続けられない』っていうところが」

片岡「はいはいはいはい」

石井「目先の結果ばっかりにとらわれてしまうと、ちょっとダメになると『次』(に行ってしまう)」
石井「フォームとかもバットとかもそうですけど、変えたときって結構結果出るじゃないですか」

片岡「いい結果出やすいんだよね」

石井「出やすいです。けど、『持続しない』じゃないですか。そうするとまた、『あれ?違うかな』、また元に戻したり、新しいものにトライしたりってなってくるんですけど。結局はまた元に戻るんですよね」
石井「だからそうなってくると、『同じサークルをぐるぐるぐるぐる回ってるだけ』で全然進歩していかないっていうところで」

片岡「そういう時は石井コーチはどういうこととか、選手に声をかける?『頑張って続けてみようよ』ってことを言うてあげるわけ?」

石井「『結果関係なしに、とにかく根気強くやろうな』っていうことしかないんですけど。ただやっぱり僕も現役時代そういう時ありましたけど、『ずっと(試合に)出てる選手』と『準レギュラー』のたまにしか出ない選手と、おそらく根気というところでも違うところがあるんですよ」

片岡「はいはい」

石井「ずっと出てる選手だったら、状態が悪くてもなんとかゲームの中で修正していきながらやっていける部分はあるんですけど」

片岡「一回石井コーチと広島のコーチ時代も(話をして)。『修正ですよ。ゲーム中の修正、また打席の中での修正。それが出来ないとなかなか1軍ではいい結果残せませんよ』っていう風な言葉が非常に俺は印象に残ってんねんけど」

石井「はい。まあ修正力ですね。ただ、たまにしか出ない選手とかっていうのは『出たところ』での結果が大事になってくるんで」

片岡「そやね」

石井「それ(結果)が出なかったら、『また次、また次』ってなってくる場合がやっぱり多い」

片岡「その気持ちもわからんでもないってことやね」

石井「すごくわかるんですけれども、そこは僕らコーチの一つの課題でもあるのかな。目先の結果だけですぐ使う、使わないとか、ダメ出ししちゃうとかっていうんじゃなくて、そこを『僕らも根気よく選手と付き合ってっていうか、見てあげることが大事』なのかなとは思いますけどね」

筆者の感想

まず立浪臨時コーチ(当時)の「継続してくれない」という話を夏に聞き、それがすごく頭にこびりついていて。
最初は「臨時コーチという立場での指導の限界なのかな」ということを私は感じていました。常に側にいられるわけではないから、春先の20日間の言葉は忘れ去られてしまったのだと。

しかしそれから4ヶ月を経て新たに井口監督の「YouTube見てすぐフォーム変えちゃう選手がいる」という話を聞き。
継続出来ないから変えているわけで、これは共通の話かもしれないと思い。
最後に片岡監督、石井コーチの話でやはり一連の流れには関連性があったと私の中で3部作のようにこの話は連なっていきました。
臨時コーチだからではなく、常に近くにいる監督でもコーチでも感じている一つの現象なのだと。

その一因として、YouTubeで色んな人の理論にすぐ触れられるからという話も出ていました。
投手の世界では、若手投手がダルビッシュ選手にTwitterなどでコンタクト取って教えを請うなんて話もよくありますよね。そういう広がりは確かにあるんだと思います。より有用に思える情報にすぐに手が届くようになった。

しかし石井コーチが「現役時代にそういう時があった」と話しているように、『結果が出ない時にも、それを継続する』ということそれ自体はSNSが普及する前から難しいことだったのだと思います。
人間、結果が出ないことを続けるのは本当にしんどいです。
特にプロ野球選手は1日でも早く結果を出したい、1年我慢してたら秋にはクビになるかもしれない。そんな世界で『根気強くやる』のは、私の想像も及ばないほど精神的重圧がすごいでしょう。
名前が出てきた根尾選手も安田選手も、石井コーチの仰るまさに『準レギュラー』の立ち位置で、確固たるレギュラーの地位にはもう一歩届いていません。
今回はたまたまこの二人と京田選手の名前が上がりましたが、各チームに同じような立場の選手はたくさんいて。
そしてそれはきっと、昔からずっとそうなんだろうと思います。結果が出ずにもがく選手たち。プロ野球という華のある世界で、しかし大きな花は咲かすことが出来ない選手たち。
親心としては、全員に花開いて欲しいんですよね。そのために遠回りしてるなってことは、指導者からすれば一目瞭然。でも当事者にはなかなかそれは伝わらないもので。

続けた先に答えがあるのかはわからない。変えた先に答えはあるかもしれない。
正解は無い。成功はある。
石井コーチが言いかけていた『何を意識して続けるか』『継続の中にプラスアルファ』、成功に繋がるために核となるポイントは必要ですよね。
ただ意味もなく、「コーチが続けろと言ったから継続した」では、やはり身につかないでしょう。

解決策の一つとして石井コーチは「監督・コーチ側も同じく根気よく見てあげることが必要になってくる」と考えておられるんだなあと。
個人的にはそれは、ファンにも必要だと感じます。若手が100打席200打席打てなくたっていいじゃないか。それぐらいの気概を持ちたいものです。


野球に限らず人間社会は、遠回りをする人間ばっかりなんだと思います。
老人は答えを知ってる。でも言葉でそれを伝えても、若者は納得しない。失敗した先に、自ら掴むことでようやく自分のものになる。
それはもしかすると、ずっとずっと昔から変わらない物なのかもしれません。
誰のどんな声に耳を傾けるかは自由ですが、その取捨選択にこそ大いに悩むべきなのかも。